インプラントの被せ物のことを上部構造といいます。上部構造の種類にはどんなものがあるのかご説明します。
インプラントの上部構造の種類
上部構造には、主に次のような種類のものがあります。
単独冠
インプラント体1本に対して、単独の上部構造を装着します。失った歯が1本または少ない場合は、これが当てはまります。
若い方が1本だけ歯を失った場合には、若い方は骨がしっかりしている為、歯を欠損した部分にインプラントを1本埋入する治療がおすすめです。
インプラント体を固定元としたブリッジ(以下、インプラントブリッジ)
3本の連続した歯が欠損している場合に、天然歯のブリッジのような形で支えの部分にインプラント体を埋入し、3本連結した上部構造を装着します。上部構造はセメントまたはスクリューで固定装着します。
オールオンフォー
オールオンフォーは総入れ歯の方向きのインプラント治療で、4~6本のインプラントで上顎または下顎の全ての歯をつくるというものです。
インプラント治療は埋入するインプラントの数が多いほど費用が高くなり、身体への負担も増します。しかしオールオンフォーという術式では、骨がある部分に斜めにインプラントを埋入することで、インプラントにかかる力を分散させ、多くの歯を支えることが出来るようになりました。
インプラント体で入れ歯を固定するオーバーデンチャー
患者さん自身が取り外せる可撤性上部構造の代表としては「オーバーデンチャー」があります。オーバーデンチャーとは、残存歯やインプラントを支えにして、その上を覆う取り外し可能な義歯を指します。
インプラントのオーバーデンチャーは、インプラント体を上顎骨に4~6本以上、下顎骨に2~4本以上埋入し、マグネットやバーなどのアタッチメント(連結装置)を取り付け、インプラントの上に12~14歯の義歯(入れ歯)を装着します。
インプラントのオーバーデンチャーは、歯槽骨の吸収が大きい方や総入れ歯の患者さんなどに適しています。自分で着脱できるので清掃しやすく、治療費用も比較的経済的といえます。
上部構造(被せ物)の種類と特徴
インプラントは、上部構造にあたる人工歯冠の種類によっても治療費が変わってきます。一般的に良く使われている上部構造の種類はセラミック、ジルコニアです。それぞれの特徴をご紹介します。
セラミック(陶材)
審美性と強度に優れ、現在最も天然歯に近い材質といわれています。時間が経過しても変色することがありません。しかし噛み合わせが悪く無理な力がかかり続けると割れることがあります。
ジルコニア
「人工ダイヤ」とも呼ばれ、非常に硬質で、オールセラミックの5倍ほどの強度があります。以前はオールセラミックに比べ透明度が低く白すぎましたが、最近では自然な色に着色した透明度の高いジルコニアが開発され、審美性にも優れています。現在、インプラントの上部構造として人気が高まっています。
インプラントの上部構造とは
インプラントの上部構造は患者さん自身では取り外しができない固定式と、取り外しのできる可撤式(かてつしき)に分けられます。
一般的なインプラント治療で使われるのは固定式の上部構造です。上部構造とアバットメントの連結は、歯科用のセメントまたはネジで固定します。
セメント固定の場合は、接着してしまいますので上部構造を外したいときに歯科医師が簡単に外せないなど、メンテナンスしづらい面があります。スクリュー固定の場合は、歯科医師が外してメンテナンスを行うことができます。
ただし、スクリュー固定では、歯冠の上にアクセスホール(ネジで着脱するための小さな穴)がありますので、人工の歯であることがわかってしまうため、審美的なデメリットもあります。その場合はレジンで歯に近い色の蓋をして見えにくくします。
インプラントの上部構造の種類に関するQ&A
一般的なインプラント治療で使われる上部構造は、固定式の上部構造です。これは歯科用のセメントまたはネジでインプラントにアバットメントを固定します。
ジルコニアは非常に硬質で強度があり、審美的な色に着色された透明度の高いものが開発されています。一方、セラミックは天然歯に近い審美性と強度を持ち、時間が経過しても変色しにくい特徴があります。しかし、セラミックは無理な力がかかると割れる可能性があります。
オーバーデンチャーは可撤性上部構造の一種で、患者さんが自分で取り外せる義歯です。インプラントを上顎骨に4~6本以上、下顎骨に2~4本以上埋入し、マグネットやバーなどのアタッチメントを取り付け、12~14歯の義歯を装着します。
オーバーデンチャーは、歯槽骨の吸収が大きい方や総入れ歯の患者さんに適しています。自分で着脱ができるため清掃が容易で、治療費用も比較的経済的です。
まとめ
インプラントの上部構造に求められるものは、審美性はもちろんのこと、長もちするということです。前歯は他人から良く見えますので、審美性を一番に考えるべきですが、奥歯の場合は見えにくいため、審美性よりも機能面で強度のある素材をおすすめしています。