最近、予防歯科に力を入れている歯科医院が多くなりました。予防歯科とは虫歯や歯周病になってからの治療ではなく、なる前の予防をすることです。患者様の歯垢や歯石を落として虫歯や歯周病にかからないようにプロのスタッフが歯のケアを行います。
予防歯科とは
予防歯科では、歯が痛くなってから治療するのではなく、痛くなる前に虫歯や歯周病などの歯の病気を予防します。そのためには、自宅で行うセルフケアと歯科医院でのプロによるケアの両方がとても大切です。
セルフケアだけでは、歯と歯の汚れを完全に取り除くことができません。歯と歯の間や歯と歯茎の間などに、どうしても歯ブラシの毛先が届かなくて磨き残しが出来てしまうからです。磨き残しはやがて歯垢になり、時間がたつとカチカチの歯石に変わります。歯石は歯ブラシで取り除くことは出来ない上に、表面がデコボコしていますので、細菌の恰好の棲みかになり、新しい歯垢もつきやすくなります。これが虫歯の大きなリスクになります。
取り除けなかった汚れを専用の機器を使用することで、口腔内がきれいになり、細菌の数が減ることで、虫歯や歯周病にかかりにくい良い環境が整います。
予防歯科って何するの?
むし歯や歯周病の予防は、ご自宅でのセルフケアと、プロフェッショナルケア(歯科医師や歯科衛生士によるケア)の両方を行うことで効果が得られます。
予防歯科で必要なセルフケア
歯科医院で定期的にクリーニングを受けるのなら、毎日の歯磨きは少し手を抜いても大丈夫なのでは?と思う方がおられますが、それは間違いです。歯科医院でのクリーニングは3~4ヶ月に1度ですので、それまでの間はご家庭でのセルフケアをしっかりと行い、虫歯や歯周病になりにくい生活習慣に変える必要があります。
セルフケアや新しい生活習慣とは以下のようなものです。
- 歯磨きを毎日2回丁寧に行う
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用して出来るだけ歯垢を落とす
- 生活習慣を見直しおやつは決まった時間に!(ダラダラ食べていると虫歯ができやすくなる)
予防歯科で必要なプロフェッショナルケア
歯科医院での定期健診(クリーニング)では、以下のようなことを行います。
- 定期検診で虫歯や歯周病の有無や症状、進行具合をチェックする
- 必要に応じてブラッシング指導
- メンテナンス(歯のクリーニング、歯石取り)
- フッ素塗布
歯を失う原因
歯を失う主な原因は3つあり、「虫歯」「歯周病」「かみ合わせによる歯の破折・破損」です。これらの原因を起こさないために、普段から健康な歯や歯並びを維持していくことが大事です。
予防歯科で大切なことは、「虫歯ができない」「歯周病を発症・進行させない」環境を作り、予防することが目的と考えています。
予防歯科でメンテナンス(定期検診)のメリット
①年齢を重ねるほど、歯の残数に差が出る!
歯科医院へ定期検診に通っている人と通っていない人を比較した場合、通っている人の方が約倍以上も歯を残すことができています。健康な歯が多く残っていれば、毎日おいしく食事ができ、生涯を通じて生き生きとした生活ができるようになります。
②将来的に歯科治療にかかるお金が少なくなる
痛くないのに定期検診に通うのは、受診の度にお金がかかるから、トータルで見るとお金がかかっているんじゃない?と思われる方もいらっしゃると思いますが、実は定期検診に通っている方がトータルの歯科治療費を抑えることができます。
例えば、一度虫歯になり小さい詰め物をした後、
- 通院しなくなった場合・・再治療を数年ごとに何度か繰り返すことになります。その度に歯を大きく削り詰め物も大きくなり、治療のための費用も高くなってしまいます。
- 通院していた場合・・一度詰め物をしたまま現状維持し続けることができます。何かあれば早期発見できて、悪化する前に治療が可能ですので、治療時間・回数・費用をトータルで抑えることができます。そして、なにより患者さん自身が痛い思いをする回数も少なくなります。
③すっきり感と見た目も艶やかに
歯科医院での歯科衛生士による歯のメンテナンスを行うことにより、口腔内がとてもすっきりして、歯の表面もツルツルして、お茶やコーヒーによる歯の着色も落ちてきれいになります。歯垢や歯石を除去し細菌を減らすだけでなく、口腔内がきれいになると気分も上がります。
予防歯科でやることに関するQ&A
予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口腔疾患を発症する前に予防することを目指す分野です。歯垢や歯石の除去、フッ素塗布などが行われ、自宅でのケアと医院でのケアの両方が重要とされています。
予防歯科のプロフェッショナルケアとは、歯科医師や歯科衛生士による専門的なケアのことを指します。歯垢や歯石の除去、ブラッシング指導、フッ素塗布などが含まれます。
セルフケアとは、自宅で行う口腔ケアのことです。毎日の歯磨き、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しての歯垢の除去、食生活の見直し等が含まれます。
定期検診では虫歯や歯周病の有無、症状や進行具合をチェックします。必要に応じてブラッシング指導や歯のクリーニング、歯石取り、フッ素塗布も行われます。
まとめ
いつまでも健康的に自分の歯で食生活するためには「お口の健康」に対する意識と予防処置が大事で、それを実現させるためには予防歯科という考えが欠かせません。
「虫歯ができてからではなく、虫歯ができないための治療を!」
今ある歯をいかにそのままの状態で守るかが大事になってきます。削ってしまったり、抜いた歯を元に戻すことはできませんから、そうなる前の予防歯科の考えがとても重要になってきます。
予防歯科により大切な天然歯が失われるのを防ぐことは、お口の健康だけではなく、全身の健康や長寿にも繋がります。