矯正をすれば歯が小さくなるのか、小さくできるならば矯正治療を行いたいと興味がある方もおられるでしょう。矯正はどのような目的で行われるか、歯が小さくなる治療法はあるのかについて詳しくご紹介いたします。
矯正治療とは
矯正治療は歯並びや咬み合わせの問題を解決するために行う保険適用外の治療です。
- 噛み合わせが悪かったのによく噛めるようになる
- 歯並びの見た目が美しくなる
- 清掃しやすく衛生状態を保ちやすい
機能的かつ審美的な口腔内にするため矯正治療は行いますが、歯のサイズを物理的に小さくすることはありません。
なぜ歯が小さく見える?
歯が小さく見える現象は歯と歯の隙間やデコボコがなくなることで歯並びが綺麗に整い、歯全体が均一に見えるようになるためです。矯正治療前後の視覚的な変化から歯が小さくなったという錯覚です。実際には矯正治療は歯の位置を動かして調整し、最適な咬み合わせの状態を目指す治療で、歯のサイズ自体を変えるわけではありません。
歯は本当に大きい?
歯の大きさで特に気になりやすいものが上顎の前歯(上顎中切歯)です。ここで重要なのがその歯が相対的に歯が大きいのか、それとも絶対的に歯が大きいのかということです。
相対的に歯が大きい
- 前歯のみが出っ歯になっている
- 隣の歯のサイズが普通より小さい歯(矮小歯)である
- 隣の歯が後方へ引っ込んでいる
絶対的に歯が大きい
前歯のサイズが絶対的に大きい場合です。男性の場合は幅が8.6mm、女性が8.5mm、長さとしては11mm弱が一般的な値です。前歯の幅や長さが大幅に値を超えていた場合、絶対的に歯が大きいと言えます。
歯が小さくなる治療法は?
歯が小さくなる治療法についてご説明します。
相対的に歯が大きい
前歯のみが出っ歯、隣の歯が後方へ引っ込んでいるなどの歯並びの悪さ(不正咬合)が問題ならば、歯列矯正をおすすめします。歯並びの悪さの程度が重度か、中度か、軽度か、噛み合わせは良い状態かなどによって、適した矯正治療法があります。
- マルチブラケット矯正はワイヤーで適切な矯正力を掛ける治療で、取り外しはできないが24時間装着しているため、歯は動く
- インビザライン矯正は患者さんご自身で取り外しが出来るマウスピース治療でどんな食事も可能だが、装着時間を守らないと治療期間が延びる
矮小歯は先天的な問題がある場合が多く、セラミッククラウンなどで審美的に大きくする治療が効果的です。
絶対的に歯が大きい
歯を削って被せ物(クラウン)を被せて小さくするという治療法が一般的です。痛みがないか確認しながら歯科医師が前歯のエナメル質を削ります。前歯を小さくきれいにしたい方には、セラミッククラウンが適しています。セラミッククラウンで歯の形が小さくなり、天然歯と比較しても分からないほど周囲の歯の色に合わせたものに出来ます。
セラミッククラウンは歯の大きさや角度が整えられて、色も綺麗になり、短期間で治療が終わるのがメリットですが、健康な歯を削り、場合によっては歯の神経(歯髄)を抜く可能性があるため健康寿命が低くなるというのがデメリットです。しっかりとメリットとデメリットを注意して治療を行いましょう。
矯正で歯は小さくなるのかに関するQ&A
いいえ、矯正治療によって歯が物理的に小さくなることはありません。矯正治療は歯の位置を調整して最適な咬み合わせを目指すものであり、歯そのもののサイズを変える治療ではないため、歯の大きさを変えることはありません。
歯が小さく見えるのは視覚的な錯覚です。矯正治療によって歯並びが整い、歯と歯の隙間やデコボコがなくなることで、歯全体が均一に見えるようになります。これにより、実際にはサイズが変わっていないにもかかわらず、歯が小さく見えるようになるのです。
相対的に大きく見える歯は、周囲の歯に比べて目立つ場合があります。例えば、前歯だけが出っ歯になっている、隣の歯が矮小歯で普通より小さい、または隣の歯が後方に引っ込んでいる場合などがこれに該当します。これらは歯自体が実際に大きいわけではなく、周囲の歯との相対的な関係で大きく見えるのです。
まとめ
矯正治療で歯は小さくなることはなく、歯並びが整ったことにより歯が小さく見えることがあるだけです。気にしている歯は相対的に大きいのか、それとも絶対的に大きいのかという点によって治療方法が異なります。