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歯科の自費診療に使えるデンタルローンとは?

インプラントや矯正、セラミックなどの自由診療は保険適用外であり、高額な費用がかかるため、患者さんにとっての経済的な負担が大きいです。そんな時には、治療費を分割して支払うデンタルローンが役立ちます。デンタルローンについてご説明します。

デンタルローンとは?

歯科医院のデンタルローンは、歯列矯正、インプラント、セラミック治療などの特定の歯科治療に限定される歯科治療費専用のローン商品です。

このローンは通常、銀行やクレジット会社、専門のローン提供業者によって提供されています。

ローンとはどういう支払い方法?

ローンとは、金融機関が一定期間、金利をつけてお金を貸し出すサービスのことです。借りたお金は、契約に基づき銀行口座から毎月引き落としされることで、定期的に返済を行います。デンタルローンは、治療費用を一括で支払うことが困難な患者さんをサポートするためのものです。

デンタルローンの種類

ローンには2つのタイプがあります。一つ目は無担保ローンで、これは借入れた金額に対して何らかの担保を必要としないローンです。二番目は担保付きローンと呼ばれるもので、この場合は何らかの財産を担保にしてより大きな金額を借りることが可能です。

デンタルローンの場合は無担保ローンとして提供されており、手続きが比較的簡単で速やかに利用開始できる点が魅力です。

ローンの申し込みについて

デンタルローンを利用するためには、まずローン会社を選び、申込書に記入し(オンラインで申込可のローンが多いです)、必要書類を整えて申し込みを行います。

申し込み条件

ローンの申し込み条件は提供者によって異なりますが、一般的には安定した収入の証明などの信用情報が求められます。一部のローンでは、年齢や職業に制限がある場合もあります。また、歯科治療が必要であることを示す歯科医師の診断書が必要になることもあります。

必要書類と手続きの流れ

申し込みには、患者さんの収入を証明する書類や銀行口座などの基本的な書類が必要です。また、歯科医からの見積もりや診断書も提出が求められることが多いです。これらの書類を揃えた後、ローン会社のウェブサイト上でオンライン申し込みを行います。申し込みが承認されると、ローン契約を結び、治療費用の支払いが始まります。

必要書類

  1. 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  2. 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書など)
  3. 引落し口座の通帳またはキャッシュカード
  4. 引落し口座の届出印

ローンを選ぶ際のポイント

適切なデンタルローンを選ぶことは、経済的な負担を軽減しながら治療をスムーズに進めるために大切です。以下は、デンタルローン選びの際に考慮すべき主要なポイントです。

金利の比較

ローンを選ぶ際の最も重要な要素の一つが金利です。低い金利で提供するローンを選ぶことで、返済総額を減らし、経済的な負担を軽減することが出来ます。デンタルローンは一般的に支払い回数を多く設定できる商品が多いので、複数のローンの金利を比較して、最も有利な条件を見つけましょう。

返済期間と返済額の選択

返済期間は、月々の返済額に大きく影響を与えます。長い返済期間を選べば月々の支払いは少なくなりますが、全体の利息額は増加します。ご自身の月々の支払い能力に応じて、最適な返済プランを選ぶことが重要です。

また、途中で繰り上げ返済が可能なローンを選ぶことで、余裕がある時には返済額を増やして借金を早く減らすことができます。

デンタルローン利用のメリットとデメリット

デンタルローンを利用することには、多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。

デンタルローン利用のメリット

  1. カードローンやフリーローンに比べて金利が低い・・一般的には、フリーローン(資金用途に制限のないローン)やカードローンと比べて目的別ローンのほうが金利が低く設定されている傾向にあります。
  2. 治療を直ぐに始められる・・ローンを利用することで、治療費の全額を一度に支払う必要がなくなります。これにより、必要な治療を迅速に受けることができます。
  3. 経済的な負担の軽減・・分割払いにより、月々の支払いが小額になり、日常生活における経済的なプレッシャーを軽減できます
  4. 治療方法の選択の範囲が拡がる・・治療費の心配が少なくなることで、より良い材料や技術を選択する自由が増します。

ローン利用のデメリット

  1. 利息の発生・・デンタルローンを利用すると、借入金に利息が発生します。この利息が積み重なると、総額では本来の治療費よりもかなり多くの費用がかかることになります。
  2. 借金の負担・・ローンは借入金であり、返済義務が生じます。計画的に返済できない場合は、今後新しいローンが組めなくなったり、キャッシングサービスが受けられなくなる可能性があります
  3. 契約内容の理解・・ローン契約には多くの条件が含まれており、それらを十分に理解していないと不利益を被ることがあります。

様々なローンの違い

デンタルローンと他の種類のローンには以下の表のような違いがあります。

ローンの種類 金利(一般的) 追加の借り入れや他の用途での支払い可否 診査難易度 融資スピード
デンタルローン 2.50~8.80% × やや厳しい 2~3週間
カードローン 1.50~18.00% 比較的緩い 早い
クレジットカード払い 8.00~18.00%(※リボ払いもしくは分割払い3階以上の場合)
クレジットカードのキャッシング 15.00~18.00%

 

デンタルローンの審査に通らない場合は?

ローンの申込み後、ローン会社において審査が行われます。審査内容は、ご本人の勤務先や収入、家族構成などの経済的・社会的状況、他社からの借入状況、今までの借入の信用情報などです。

他社での借り入れ状況が理由で審査に通らない可能性がある場合は、「おまとめローン」という方法で他社からのローンを1本可して借り換える方法があります。

まとめ

歯科の自由診療は、患者さんに質の高い治療オプションを提供しますが、経済的な負担も伴います。デンタルローンを利用することで、治療費用の支払いを分割し、負担を軽減することが可能です。

ローン選びでは、金利、返済条件などの、様々な要素を慎重に比較検討することが重要です。また、毎月の返済額は、ご自身が以後数年に渡って無理のない返済をしていける金額を設定しましょう。

デンタルローンは、歯科の自費診療に利用できる資金調達方法の一つです。以下は、デンタルローンに関する2つの論文から得られた知見です。

1. [Eimers, 2008] この論文では、歯科診療所の資金調達方法について説明しています。患者が歯科診療を受ける際、デンタルローンのような金融商品を利用することで、治療費を分割して支払うことが可能です。また、歯科診療の資金調達においては、金利だけでなく、全体の支払い構造や各種条件を注意深く検討することが重要であるとされています。

2. [Perks, 1997] この論文では、特に歯科矯正治療における資金調達について述べられています。デンタルローンは、患者が矯正治療のために資金を確保する手段として活用できます。これにより、高額な矯正治療の費用を分割払いでカバーし、治療を継続することが可能になります。

結論として、デンタルローンは、歯科治療、特に矯正治療などの自費診療において、患者が治療費を賄うための重要な資金調達手段として活用されています。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック