セットバック整形は、小臼歯を抜歯して出来てスペース分の骨を切除して、顎を後ろに下げて口元のラインを整える手術です。では、過去に歯列矯正を経験し、すでに小臼歯の抜歯を行っている場合、セットバック手術が可能なのでしょうか? 抜歯矯正済みの方のセットバック手術についてご説明します。
目次
セットバック手術とは
セットバック手術は、基本的に中央から4番目の歯(小臼歯)とその周囲の骨を切り取って後方に移動させる手術です。この手術では、前歯の骨格部分を後ろに移動させるために、小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用します。そのため、小臼歯を抜くことがこの手術の絶対条件となります。
矯正治療で4番目の歯を抜歯した場合
小臼歯を抜歯して矯正治療を行うケースは多くあります。過去に抜歯矯正を受けたことのある方の場合、すでに小臼歯がないため、手術は不可能ではないかと心配されることがあります。
しかし、実際には4番目の歯を抜歯している場合でも、セットバック手術は可能です。
5番目の歯を抜歯する場合は注意が必要
4番目の歯の代わりに5番目の歯を抜歯する方法もあります。ただし、4番目の歯が選ばれる理由は解剖学的なものであり、5番目の歯を抜く場合には注意が必要です。
4番目の歯の下には「オトガイ孔」と呼ばれる穴があり、この穴から神経や動脈が出てきます。4番目の歯の骨を切り取るとき、このオトガイ孔を避けることで安全に手術を行うことができます。しかし、5番目の歯を抜歯する場合、このオトガイ孔に近くなるため、神経に触れるリスクが高まります。
抜歯矯正治療後の歯の位置
抜歯矯正では、4番目の歯が抜歯され、そのスペースが埋まるように5番目の歯が前方に移動している場合、5番目の歯を利用してセットバック手術を行うことも可能です。
このような場合には、5番目の歯が元々の4番目の位置に近づいているため、オトガイ孔の位置からは外れており、手術が安全に行えることがあります。
個々のケースによる判断
セットバック手術が可能かどうかは、個々の患者さんの状況によります。オトガイ孔の位置や矯正治療後の歯の動き方は、患者さんごとに異なります。そのため、セットバック手術を希望しておられる方には、手術前に口腔内の状態を詳細に診察する必要があります。
健康な歯を抜歯すべきか
歯科医としては、できるだけ健康な歯を抜かない方が良いと考えています。基本的に抜歯矯正をおすすめしないとおっしゃる矯正医の先生も大勢おられます。
4番目の歯を矯正治療で抜歯し、さらに5番目の歯をセットバック手術で抜歯することは、歯を過剰に抜くことになり、全体の歯の本数が減り、アーチが小さくなってしまため、慎重に検討する必要があります。
美容目的の手術としてのセットバック
セットバック手術は、美容目的で行われることが多いです。歯を少なくすることと美容的な改善を天秤にかけ、患者さんの価値観に基づいて判断することが重要です。当院では、患者さんと十分に相談し、納得いただいた上で手術を行うようにしています。
【動画】歯列矯正の時に抜歯していても手術は可能?
既に歯列矯正で抜歯済でもセットバック手術は可能かに関するQ&A
セットバック手術は、中央から4番目の小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して顎の骨を後方に移動させる手術です。これにより、口元のラインを整え、美しい輪郭を形成することが目的です。この手術はミリ単位の精度が求められるため、非常に繊細で正確な技術が必要です。
はい、矯正治療で4番目の小臼歯を抜歯した場合でもセットバック手術は可能です。4番目の歯が既に抜かれている場合は、5番目の歯を抜歯してセットバック手術を行うことが検討されます。ただし、5番目の歯を抜歯する際には、解剖学的な注意が必要です。
5番目の歯を抜歯する場合、「オトガイ孔」と呼ばれる神経や動脈が通る穴の近くになるため、神経に触れるリスクが高まります。4番目の歯の骨を切り取る際にオトガイ孔を避けることで安全に手術を行えるため、5番目の歯を抜歯する場合にはこの点に特に注意が必要です。
まとめ
既に矯正治療で4番目の歯(小臼歯)を抜歯済の場合でも、セットバック手術は可能です。ただし、個々のケースによって異なるため、事前の検査が必要です。健康な歯を抜くべきかどうかについても、慎重に検討する必要があります。セットバック手術を検討されている方は、専門医に相談し、詳細な検査と診察を受けることをお勧めします。