エアフローは従来のクリーニングでは取り切れなかった歯間や歯周ポケットの汚れにも効果を発揮し、コーヒーやお茶による着色、喫煙によるヤニ、そして食べ物のカスから形成される歯垢を効果的に除去します。エアフローについて、そのメリットとデメリットを中心にご説明します。
エアフローの仕組みと特徴
エアフローとは?
エアフローとは、細かなパウダー粒子と水流と空気を組み合わせた新しい歯のクリーニング方法です。従来のスケーリングやポリッシングと異なり、歯に直接触れることなく、歯垢や表面の汚れを効率的に洗い流します。
エアフローが汚れを除去する仕組み
エアフローは以下のような仕組みで汚れを除去します。
- 微細なパウダー粒子を用意する
- 圧縮空気と水を混ぜ合わせる
- この混合物に微細なパウダーを加える
- 高圧で噴射する
この方法により、表面に付着した汚れを物理的に除去します。使用されるパウダーの主成分は「エリスリトール」で、キシリトールなどの糖アルコールの一種です。
エアフローの特徴として以下の点があげられます。
- 広範囲を一度にクリーニングできる
- 歯間や歯周ポケットなど、従来の方法では届きにくい部分にもアプローチ可能
- 歯の表面を傷つけにくい
- 短時間で効果的なクリーニングが可能
他の方法との違い
特に、エアフローは以下の点で他のクリーニング方法と異なります。
- 非接触でのクリーニング・・パウダーと水流の力で汚れを落とすため、歯や歯茎に優しい。
- 短時間での施術・・従来の方法に比べ、クリーニングの所要時間が短縮。
- 痛みの軽減・・敏感な歯を持つ患者さんでも快適に受けられる。
メリット
1. 高い洗浄力
エアフローの最大のメリットは、その高い洗浄力にあります。従来のブラッシングや超音波スケーラーでは取り切れなかった以下のような汚れにも効果を発揮します。
- コーヒーやお茶による着色
- タバコのヤニ
- 歯間部や歯周ポケットに蓄積したプラーク
- 矯正装置周辺の汚れ
特に、歯間や歯周ポケットの汚れを効果的に除去できるエアフローは、歯周病予防の観点からも注目されています。
2. 時間効率の良さ
エアフローは広範囲を一度に処理できるため、従来の方法と比べて大幅に時間を短縮することが出来ます。一般的に、クリーニングにかかる時間は15~20分程度とされており、短時間で楽にクリーニングを受けていただくことが出来ます。
3. 歯への優しさ
従来のクリーニング方法では歯の表面を傷つけてしまう可能性がありました。一方、エアフローは微細なパウダーを使用するため、エナメル質への負担が少ないのが特徴です。これにより、以下のようなメリットがあります。
- 表面を傷つけにくい
- 知覚過敏のリスクを軽減
- 詰め物や被せ物への影響が少ない
4. 着色汚れへの効果
コーヒー好きやヘビースモーカーにとって、着色は大きな悩みの種です。エアフローは、これらの着色汚れに対して特に高い効果を発揮します。その理由は以下の通りです。
- パウダーの粒子が着色物質に直接作用
- 広範囲を一度に処理できるため、ムラなくクリーニング可能
- 歯間の着色も落とせる
5. 歯周病予防効果
エアフローは単に見た目の改善だけでなく、歯周病予防にも効果があります。その理由は以下の通りです。
- 歯周ポケット内のプラークを効果的に除去できる
- バイオフィルム(細菌の集合体)を洗い流し、新たな形成を防ぐ
定期的にエアフローによるクリーニングを受けることで、歯周病のリスクを大幅に低減することができます。
6. 痛みや不快感が少ない
従来のスケーリングは歯茎に刺激を与えることがありますが、エアフローは非接触型のため、敏感な部位でも快適にクリーニングを進められます。
7. 矯正器具を装着している場合にも対応可能
矯正中の患者さんでも、器具の隙間や届きにくい部分を安全に清掃できます。
デメリット
エアフローには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。以下、主なデメリットについて解説します。
1. 適用できない場合
以下のような状況では、エアフローの施術を受けられない、もしくは注意が必要となります。
- 呼吸器疾患がある場合
- 放射線治療を受けている場合
- 妊娠中の場合
- 重度の歯周病がある場合
これらの状況に該当する方は、事前に担当医と相談し、別の方法を検討する必要があります。
2. 一時的な不快感
エアフロー施術中、以下のような一時的な不快感を感じる場合があります。
- 舌や歯肉へのチクチクした刺激
- 口腔内に広がるパウダーの味や感触
- 水しぶきによる不快感
これらの不快感は一時的なものであり、施術後すぐに消失しますし、慣れれば気にならなくなるものですが、個人差があり、敏感な方にとっては気になる点かもしれません。
※ジェット水流はノズルからかなりの勢いで出ますが、歯に吹き付けた後、すぐにバキュームで吸い取りますので、実際にはクリーニング中のお口の中は乾いた状態になっています。
3. 知覚過敏への影響
エアフローは負担が少ない方法ですが、もともと知覚過敏がある方の場合、施術中に痛みを感じる可能性があります。また、まれに施術後に一時的な知覚過敏が生じることもあります。
知覚過敏がある方は、特に痛みが起こる部分について、事前に歯科衛生士にお話しいただくと、痛くないように知覚過敏の部分を避けて行うようにいたします。
エアフローが適しているケース
エアフローは、以下のような場合に特におすすめです:
コーヒーやタバコによる着色
日常生活での飲食習慣による歯の黄ばみや茶渋に対して即効性があります。
矯正治療中の患者さん
矯正器具の周囲にたまりがちな歯垢や汚れを徹底的に除去できます。
歯周病予防や治療の一環として
エアフローは、歯茎の健康を守り、歯周病の予防に大いに役立ちます。
クリーニングの流れ
エアフローによるクリーニングは以下のステップで進められます。
1. 事前健診と準備
歯科医師や歯科衛生士による健診で、歯や歯茎の状態を確認します。問題がない場合、エアフローを使用したクリーニングが始まります。
2. エアフローによる清掃の実際
エアフローのノズルからパウダー粒子と水流を噴射し、歯の表面に当てます。これによって歯垢や着色が丁寧に除去されます。施術はごく短時間で終わります。
3. 施術後のケアと注意点
施術後は、歯磨きやフロスで清潔な状態を保つことが重要です。また、飲食による再着色を防ぐため、施術後30分程度は飲食を控えることが推奨されます。
施術の注意点
施術を受ける際は、以下の点に注意が必要です。
1. 施術前の注意
- 患者さんから現在のお口の状態で気になることを詳しく伝える
- 知覚過敏や歯周病の有無を確認する
- アレルギーの有無を確認する
2. 施術中の注意
- 不快感や痛みを感じた場合は即座に伝える
- 指示に従ってお口の開き具合やお顔の角度を変える
3. 施術後の注意
- 2~3時間は着色しやすい飲食物を避ける
- 喫煙は控えた方が着色を起こさない
まとめ
エアフローは多くのメリットを持つ革新的なクリーニング方法ですが、すべての人に適しているわけではありません。以下のような方にとっては特に効果的な選択肢となるでしょう。
- コーヒーやお茶、喫煙による着色に悩んでいる方
- 歯周病予防に関心がある方
- 短時間で効果的なクリーニングを求める方
- 従来の方法で痛みを感じていた方
一方で、以下のような方は慎重に検討する必要があります。
- 呼吸器疾患や特定の健康上の問題がある方
- 知覚過敏が重度の方
エアフローは効果的にプラークや着色汚れを除去することが出来、エナメル質を傷つけずに表面をピカピカに磨くことが可能です。それに加えて、毎日正しい方法で歯磨きを行うことで、より健康で美しい歯を維持することができるようになります。