入れ歯

60代で入れ歯の人はどのくらいいるの?

60代で入れ歯の人はどのくらいいるの?

60代に突入すると、歯を失うリスクや入れ歯の必要性について考え始める方もおられることと思います。60代で入れ歯を使用する割合やその理由、入れ歯を避けるための方法、定期健診の重要性などについてご説明します。

60代での入れ歯率とは?

平成28年の厚労省の歯科疾患実態調査では、年齢別の総入れ歯の人の割合が報告されています。それによると、60~64歳で総入れ歯を使用している人は4%おられ、70~74歳では14.7%、80~84歳になると約3割の方が総入れ歯を使用しておられます。

50~54歳では0.9%、55~59歳では1.6%ですので、日本では、60代になると入れ歯を使用する患者さんの割合は増加するといえます。
部分入れ歯を利用する方は更に多いことが推測され、放置すると何年か後には総入れ歯に移行する可能性があります。

  • 部分入れ歯・・一部の歯が抜けた場合に使用
  • 総入れ歯・・全ての歯が抜けた場合に使用

60代になると入れ歯の使用率が高まる理由

60代になると入れ歯の使用率が高まることにはいくつかの理由があります。

1. 歯周病の進行

60代の方の多くが歯を失う最大の原因は歯周病です。歯周病は、歯を支える歯茎や骨が細菌感染によって炎症を起こし、歯がグラグラになって最終的には抜けてしまう病気です。若い頃にしっかりと治療や予防が行われていないと、60代に入る頃には進行してしまい、歯を失うリスクが高まります。

2. 加齢による歯の劣化

年齢を重ねることで歯自体が摩耗し、割れやすくなったり、虫歯が深くなることがあります。また、エナメル質が薄くなり、歯の耐久性が低下するため、修復が難しくなることもあります。その結果、歯を抜く選択肢が増え、入れ歯が必要になることがあります。

3. 虫歯の進行

若い頃に治療した虫歯の被せ物や詰め物が、長年の使用で劣化し、被せ物や詰め物の下で再び虫歯が進行することがあります。特に深い虫歯の場合、歯の保存が難しくなり、抜歯が選択されることが多いです。

4. 不十分な歯科ケアの影響

加齢に伴い、口腔内のケアが十分でなくなるケースもあります。歯磨きが不十分になったり、定期健診に行かなくなると、虫歯や歯周病の進行を見逃してしまい、歯を失う原因となります。

5. 食生活や生活習慣の影響

長年の食生活や生活習慣も歯の健康に影響します。例えば、糖分の多い食事や喫煙習慣は、虫歯や歯周病のリスクを高め、結果的に歯を失うリスクが高まるため、60代での入れ歯の使用率が増加します。

これらの要因が重なり、60代になると入れ歯の使用率が高まります。これらの問題を防ぐためには、毎日の歯磨きを正しい方法で行い、定期的に歯科健診を受けることが重要です。

入れ歯を避けるためにできること

シニア世代の方がご自身の歯を保つためには、次のような対策が有効です。

  • 毎日の歯磨き・・歯垢をしっかりと除去し、歯周病や虫歯を予防します。
  • フロスの使用・・歯間の汚れを除去し、歯周病を防ぎます。
  • 定期的な歯科健診・・早期発見・治療により、歯の健康を長く保つことが可能です。
  • 適切な食事・・カルシウムやビタミンDを多く含む食事は、歯を強くする効果があります。

毎日のセルフケアと生活習慣の改善により、歯の健康を維持することができます。

歯科健診の重要性

60代になると、若い頃と比べて歯周病や虫歯が進行しやすくなります。そのため、定期的な歯科健診は特に重要です。健診では、歯周病や虫歯にかかっていないかのチェックを行いますので、早期に発見し、進行する前に治療に入ることが出来ます。早期発見・治療により、歯を失うリスクを大幅に軽減できます。

  • 3~6ヶ月に一度、健診を受けるようにしましょう
  • 歯のクリーニングも合わせて行うことで、より効果的に歯の健康を守れます

入れ歯以外の選択肢

入れ歯は昔からある一般的な治療法ですが、現代では他にも様々な選択肢が存在します。特にインプラントやブリッジなど、より自然な外観と機能を持つ治療を受ける患者さんが増えています。

  • インプラント・・失った歯を補うための人工歯根を顎骨に埋め込んでその上に上部構造(被せ物)を取り付ける治療法で、長期間にわたる安定性があります。
  • ブリッジ・・隣接する健康な歯を利用して連結された被せ物を取り付けて失った歯を補う方法です。

これらの治療法は、入れ歯の不安定さを解消し、より自然な口元を保つことが可能です。しかし、インプラントは費用が高額になりますし、ブリッジは隣接する健康な歯を削る必要があるため、患者さんのご予算やライフスタイルに応じて選択する必要があります。

まとめ

60代になると、入れ歯の使用率が高まる一方で、日々のケアや定期健診により、歯の健康を維持することが可能です。入れ歯を避けるためには、歯磨きやフロスの使用、バランスの取れた食生活など、さまざまな予防策が有効です。また、歯を失った場合には、インプラントやブリッジといった入れ歯以外の選択肢も検討できます。歯科医との連携を大切にしながら、自分に合った方法で健康な口腔環境を保つことが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック