輪郭整形

顎の長さが気になるけど手術は必要なの?

顎の長さが気になると手術が必要かと検討される方がおられます。なぜ気になるのか、手術のメリットやデメリットについて詳しく知ったうえで手術を受けることが大切です。

顎の長さが気になる原因とは

顎の長さが気になるのはなぜでしょうか。それは、見た目や顔全体のバランスに影響を与えるからです。長さが気になる原因として、先天的な原因と後天的な原因があります。

先天的な原因

顎の形や長さなどは先天的な原因である骨格性遺伝があります。脊椎動物が骨を形成するには、軟骨形成がとても重要になってきます。その軟骨形成に影響を及ぼす遺伝子がうまく働かなかった場合、先天的に軟骨形成不全や口蓋裂を起こすことが多いと言われます。つまり、遺伝子の作用はとても大きいものです。

後天的な原因

反対に遺伝ではなく、日常生活や他の影響による原因も考えられます。

成長過程の影響

顔の幅や深さなどは成長期に発達します。上顔面はそれほど変わらない印象になりますが、思春期に下顔面の顎の骨が成長しすぎた場合、下顔面のバランスや場合によっては中顔面のバランスも崩れることがあります。

噛み合わせの問題

上下の歯並びはきれいでも噛み合わせが悪いと、噛みきれません。片方で噛んでしまう噛む負担が一部の歯にかかりますし、左右できちんと噛むことが顎の発達に影響して、成長しきれないということがあります。咀嚼が偏った部分で行われると筋肉も偏るため、見た目に影響を与えることがあります。

姿勢や生活習慣

猫背などの姿勢の悪さや口呼吸、顎を出したり舌を出す癖、頬杖を突いたりうつ伏せで寝るなどの癖を日常的に行っていると、どうしても顎の長さや左右差が生じます。それにより、長さが強調される原因になる場合があります。

顎の長さを調整する手術の種類と適応ケース

顎の長さを手術で調整する方法や、それぞれ適応するケースが異なります。

顎の長さを調整する手術の種類

顎の長さを調整する手術をいくつかご紹介します。

セットバック手術

下顎の左右第一小臼歯(4番)とその部分の骨を切除し、口の中から骨を水平に切り、前歯6本と前歯の骨を後方へ移動させてチタンプレートで固定する手術です。一般的に受け口と呼ばれる反対咬合の方に向いています。矯正では治療ができない重度の方は、顎の長さや見た目が気になっておられます。Eラインと横顔を改善できる効果的な手術です。

下顎骨切り術(オトガイ形成術)

オトガイとは、下顎骨正中部下端と専門的に呼びます。顎先の骨を調整することで特に前顎が突出している方や、口が閉じにくい方、反対に顎がないとお悩みの方に適用されます。顎がない方は、オトガイを一部切離し下前方で固定して整えて出します。横顔の美しさを求める方が大部分ですが、稀に睡眠時無呼吸症候群の方がオトガイ前方移動術を行って、舌骨を前方へ出し、舌を後方へ落ちにくくして気道を防がないようにするケースがあります。

参照先:東京医科大学

手術が適しているケース

  • 見た目のバランスを整えたい
  • 見た目以外に歯並びの噛み合わせの問題もある
  • 歯列矯正のみで改善は難しい

このような場合には手術が適していると言われます。とはいえ、手術を選択するには、手術を担当する医師や医院が安全に行えるところかどうか、しっかりと相談のうえ行いましょう。

顎の手術のおおまかな流れ

顎の手術でのおおまかな流れをご紹介します。

術前から手術まで

初診カウンセリングで患者さんの悩みを相談し、医師による診察を受け、手術が自分に合った治療方法かどうか説明してもらいます。手術を行うとなれば、レントゲン撮影やCTスキャンで顎の状態、血液検査などの術前検査を行い、手術が可能な状態か調べます。全身麻酔下で手術を行います。手術時間はどの治療法かによりますが2~4時間程度です。

術後

手術後は腫れや痛みが続くため、約1〜2週間程度激しい運動などはせず、食事も指示されたものを摂り、なるべく安静にしましょう。手術後数ヶ月間は痛みや腫れがどんな感じか、顎の経過を確認するため、定期的に検査と説明を受けます。人に会わないといけない場合は、鎮痛剤を服用して痛みを軽減し、マスクで腫れやむくみを隠しておくと良いです。症状が目立たなくなるまで、個人差はありますが、半年以上かかる場合もありますが、術後のケアをしっかり行うことで、リカバリー期間をスムーズに進めることが可能です。

顎の手術のメリットとデメリット

顎の手術について見た目や機能の改善が期待できる一方で、デメリットやリスクも伴います。

メリット

長さや形が改善されれば、全体的により調和のとれた顔立ちになります。また、長年のコンプレックスを解消できれば、精神的な健康状態になり、笑顔や人との会話に自信が持てます。顎の形のずれを解消できて噛み合わせが改善する方は、食事や発音がスムーズになり、日常生活が快適になります。

デメリット

手術にはリスクが伴い、神経へのダメージや感染症、腫れやしびれなどの副作用が起こる可能性があります。手術後は腫れや痛みなどのダウンタイムがあるため、回復まで数ヶ月かかります。先天的な原因で顎変形症と認定された場合は保険適用内で治療できる可能性がありますが、ほとんどの場合は保険適用外で、自己負担となり費用が高額になることがあります。術後の希望のイメージが医師と相談できていなかった場合、希望通りの結果が得られないことがあります。

手術を受ける際は、メリットとデメリットを十分に考慮することが大切です。

顎の長さの手術を検討する際の注意点と代替治療

顎の長さの手術をするのか、代替え治療をするのか、しっかりと考慮しましょう。

手術の際の注意点

手術を検討する際に、下記のような点に注意しましょう。

現実的な期待を持つ

手術の結果に対する期待値を過剰にしないようにし、納得がいくまで医師と相談して、イメージを共有しましょう。

費用を確認する

保険適用の有無や総額の費用(術前検査代も含む)について、事前にしっかりと見積もりを確認してください。なるべくならば一つの医院で手術を検討するのではなく、いくつかの医院で相談を受けることをおすすめします。患者さんのご希望に合う分割制度などがあるかなども確認すると良いでしょう。

信頼できる医師を選ぶ

手術について経験豊富な専門医を選びましょう。お顔の手術を大きく行う場合は体の負担が大きくなってしまい入院が必要ですが、より身体に負担が少なく日常に戻りやすい日帰りでの手術が可能な医院も検討してみましょう。

当院では口腔外科出身の院長が手術を行います。上顎前突と過蓋咬合でお悩みの方へのセットバック手術においては、歯科の専門分野から歯の角度や噛み合わせを考慮して後方へ移動させております。

手術の代替案

麻酔や骨を切る手術にどうしても抵抗がある方は、下記の代替案を確認したうえで、手術が本当に必要かどうかを判断することが重要です。

歯列矯正

軽度から中程度の反対咬合(受け口)であり、下の歯のみが出ている方であれば可能です。長さを調整するというより、歯並びが綺麗に整うことで、Eラインも綺麗になり、顎が短くなったと感じられます。ただ、あくまで歯並びが原因で顎が長く見える状態に限ります。

ヒアルロン酸注入

非手術的な方法で顎の形を一時的に改善する選択肢です。ヒアルロン酸を注射することで、1年位は効果を保つことができます。ただ、注入後にむくみや痛みなどの症状が少し残るリスクがあります。

姿勢改善や筋トレ

骨格的な原因ではなく、むくみが原因で顎が長いと感じた場合に効果的なのが、患者さんご自身で行うリンパマッサージやエクササイズです。老廃物や水分をリンパで詰まらせないために、耳の後ろにある乳突リンパ節に掌を当てて、肩へ流すイメージで数回やるとむくみが取れやすいと言われます。また猫背では顎の発達に影響を及ぼすため、成長期の子供へは特に姿勢を正すよう促したり、お口周りの筋肉を鍛えて表情筋を豊かにするセルフケアで見た目の印象を変える可能性があります。

まとめ


顎の長さを手術で改善する方法について、手術の種類や注意点、代替の治療法まで詳しく解説しました。手術は大きな決断ですので、担当医の意見を取り入れながら、不安があれば自ら質問して納得のうえ行いましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック