インビザライン治療は、すべてのケースでスムーズに進むとは限りません。「あまり歯が動かない」「噛み合わせが悪くなった」「途中で治療を断念した」など、失敗例も報告されています。どのようなケースで「失敗」とされるのか、そして、失敗しないために気をつけるべきポイントについてご説明します。
目次
インビザライン治療で失敗とは？どんなケースがあるの？
「インビザラインを始めたけど、思った通りの結果にならなかった…」
そんな話を耳にされたことはありませんか？実は、インビザライン治療にも失敗するケースがあるのです。
では、どのようなケースが「失敗」とされるのでしょうか？以下のような例があげられます。
治療が計画通りに進まない
→ 途中で歯の動きが予定とズレてしまい、追加の処置が必要になることも。
インビザライン治療は、事前にデジタルシミュレーションを行い、歯の動きを詳細に計画した上で進めていきます。しかし、計画通りに進まないケースも少なくありません。
例えば、マウスピースの装着時間が短かったり、患者さんの歯の動きが予測と異なったりすると、本来の予定よりも歯が動かず、次のマウスピースが合わなくなることがあります。このような場合、追加のアライナーを作成する「リファインメント」と呼ばれる工程が必要になり、結果として治療期間が延びることになります。
また、矯正中に歯が動くことで咬み合わせのバランスが崩れることもあり、場合によってはワイヤー矯正を併用しなければならないこともあります。特に、初めてインビザライン治療を受ける方は、「マウスピースを装着していれば自然に歯が動く」と思いがちですが、しっかりと治療計画を守ることが成功の鍵となります。
期待した歯並びにならない
→ マウスピースの装着時間不足や計画のミスが原因で、仕上がりに満足できないこともあります。
インビザライン治療を始める際、多くの患者さんは「きれいな歯並びになれる！」という期待を持っています。しかし、すべての症例で理想的な仕上がりになるとは限りません。
例えば、治療前のシミュレーションでは綺麗な歯並びになる予定でも、実際には歯の動きが遅れたり、計画通りに動かなかったりすることで、最終的に思ったほど整った仕上がりにならないことがあります。これは、歯の根の位置や骨の状態、歯の動きやすさなど、個人差が大きく影響するためです。
また、治療途中でマウスピースの装着時間が不足した場合、その影響が最終的な歯並びに現れることがあります。「少しくらい着けなくても大丈夫」と思ってしまうと、予定通りに歯が動かず、仕上がりに不満を感じることも。特に、前歯を綺麗に整えたいと思っている方は、しっかりと装着時間を守ることが重要です。
咬み合わせが悪くなった
→ インビザライン治療の結果、上下の歯の噛み合わせに問題が生じる場合があります。
矯正治療の目的は、単に歯並びを綺麗にすることだけではなく、正しい咬み合わせを作ることにもあります。しかし、インビザライン治療では、場合によっては逆に咬み合わせが悪くなってしまうこともあるのです。
例えば、インビザラインはワイヤー矯正と異なり、上下の歯を同時に大きく動かすことが難しいため、治療中に咬み合わせが一時的にズレてしまうことがあります。特に奥歯の咬み合わせが変わることで、食事の際に噛みにくくなることや、顎に負担がかかることもあります。
また、マウスピースの装着時間が不足すると、上下の歯が予定通りに動かず、最終的に上下の歯の接触位置がずれてしまうことも。さらに、治療途中でアタッチメント（歯に付ける突起状の装置）が取れてしまうと、歯が適切に動かなくなり、咬み合わせに影響を及ぼす可能性があります。
このようなトラブルを防ぐためには、定期的な健診を受け、治療の進行状況をチェックすることが不可欠です。歯科医師と相談しながら、必要に応じて治療計画の調整を行うことで、咬み合わせのズレを防ぐことができます。
途中で治療を中断してしまう
- 歯が元の位置に戻ってしまう（後戻り）
→ 矯正途中の歯は非常に動きやすく、治療を中断すると元の位置に戻ろうとする力が働きます。 - 歯並びが中途半端な状態で固定されてしまう
→ 治療が未完成の状態でやめてしまうと、逆に不自然な歯並びになってしまうことも。 - 後からワイヤー矯正が必要になる可能性がある
→ インビザライン治療の途中で放置すると、歯の位置がずれてしまい、再度矯正する際にはワイヤー矯正が必要になることも。
「思っていたよりも大変」「マウスピースの装着が面倒」「治療期間が長く感じる」といった理由で、途中で治療をやめてしまう方も少なくありません。しかし、インビザラインの治療を中途半端な状態でやめてしまうと、以下のような問題が発生します。
インビザラインの治療は、一見シンプルに見えますが、実は成功のためには多くのポイントを押さえる必要があります。治療を開始する前に、「最後まで継続できるかどうか」をしっかり考えることが大切です。特に、仕事や学校の都合で治療のスケジュールが守れない可能性がある方は、事前に歯科医師と相談し、無理のない計画を立てることをおすすめします。
失敗を防ぐために大切なポイント
1. 治療計画の確認
治療前にしっかりとシミュレーションを行い、自分の歯並びに適しているか確認しましょう。シミュレーションソフト上の歯の動きは、実際の歯の動きと異なる場合があります。計画と実際のずれが起こってきたときは、途中で治療計画を変更するケースもあります。
2. マウスピースの装着時間
1日22時間以上の装着が推奨されています。これを守らないと計画通りに歯が動きません。基本的にマウスピースを外してもいいのは食事と歯磨きの時だけです。1日の間で外す時間を2時間以内にとどめるように、計画的に1日を過ごす自己管理が必要になります。
3. 定期的な健診
歯科医師のチェックを怠ると、トラブルの発見が遅れ、治療の遅延につながります。また、マウスピースが歯から浮いていないか、アタッチメントが取れていないか、計画通りに歯が動いているかなどのチェックも必要です。
4. 口腔ケアの徹底
マウスピースを装着するため、歯垢が溜まりやすくなります。マウスピースを付けた状態では、歯に唾液が行きわたらないため、虫歯のリスクが高まります。こまめな歯磨きが必要です。
5. アライナーの管理方法
アライナーを正しく管理し、紛失や破損を防ぐことも重要です。外食時に外したまま失くしてしまうこともありますので、外した時は必ず専用ケースに入れるようにしましょう。また、新しいアライナーを使うときは、番号を間違えないように袋に書いてある番号をきちんと確認しましょう。
これらのポイントを押さえておくことで、インビザライン治療の成功率は格段に上がります。
インビザラインの装着時間を守らないとどうなる？
「忙しくてつい装着時間が短くなってしまった…」
そんなことはありませんか？しかし、装着時間が不足すると、以下のような問題が起こります。
- 歯が計画通りに動かない
- 次のマウスピースが合わなくなる
- 治療期間が延びてしまう
その結果、追加のアライナーが必要になり、余計な時間や費用がかかることも。
「ちょっとくらい大丈夫」と思わず、1日22時間の装着を意識しましょう。
歯並びの状態によってはインビザラインが向かないことも！
「すべての不正咬合がインビザラインで治せるわけではない」
これも大事なポイントです。
インビザラインが向かないケース：
- 重度の不正咬合（抜歯が必要な場合など）
- 顎のズレが大きい症例
- 歯が極端に小さい、または大きすぎる場合
こうしたケースでは、ワイヤー矯正の方が適している場合もあります。
治療前にしっかりと歯科医師と相談しましょう。
矯正中の注意点！生活習慣と食事のポイント
インビザライン治療中は、普段の生活にも注意が必要です。
食事の際は必ずアライナーを外す
→ アライナーをつけたまま食事をすると、変形や破損の原因になります。
飲み物は水をメインにする
→ 色素沈着を防ぐため、コーヒーや紅茶、ジュースはアライナーを外して飲みましょう。
しっかり歯磨きをしてから装着する
→ 歯垢がたまると虫歯や歯周病のリスクが高まります。
こうした生活習慣を守ることで、矯正治療をスムーズに進めることができます。
失敗しないためのクリニック選びのコツ
インビザライン治療を成功させるためには、クリニック選びも重要です。
以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- インビザラインの症例実績が豊富な歯科医院を選ぶ
- 治療計画をしっかり説明してくれるか確認する
- 最新のスキャナー（iTeroなど）を導入しているか
- アフターケアが充実しているか
クリニック選びを慎重に行うことで、治療の成功率を高めることができます。
まとめ
インビザライン治療を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 治療計画をしっかり確認する
- 装着時間を守る
- 定期的な健診を受ける
- 口腔ケアを徹底する
- 適切なクリニックを選ぶ
インビザラインは、正しく使えば快適で効果的な矯正方法です。
しかし、油断すると思わぬ失敗につながることもあります。
大切なのは「治療のルールを守ること」ですね。
「せっかく始めたのに失敗した…」と後悔しないために、今回ご紹介したポイントを意識して、理想の歯並びを手に入れましょう！
