口元の突出感にお悩みで、歯科矯正より早く治す方法をと考えた場合、セットバック手術やルフォーⅠ型骨切り術等の外科矯正にたどりつく方が多いです。この二つの方法の特徴や違いについてご説明します。
セットバック手術とは
セットバック手術は、左右の第一小臼歯(主に正面から数えて4番目の歯)を抜歯し、その部分の歯槽骨も併せて切除します。その空間を利用し、フリーとなっている前歯と歯槽骨を後ろに下げてチタンプレートで固定するという方法がセットバック手術です。所要時間およそ2~3時間で行え、且つ術後検診の回数も少ないというのがメリットです。
【動画】セットバック整形とルフォー、SSROとの違いとは?
セットバック手術はルフォーⅠ型骨切り術に比べて、動かせる範囲が狭いという事(上下の前歯の後退のみ)がデメリットですが、セットバック手術では口元の突出感(傾き)を限局的に変えられます。ルフォーI型骨切り術では、セットバック手術ほどには変えられないことがあります。
当院で行うセットバック手術は、口元の突出感でお悩みの患者さんに、前歯と歯槽骨の角度を少し立てて後ろに下げるよう処置を行っております。それにより、口元の突出感を解消できます。
ルフォーⅠ型骨切り術とは
ルフォーⅠ型骨切り術は、上顎の上唇と歯肉の境目を切開します。鼻の横の高さから上顎骨を水平に切り、口元の突出感や、中顔面の長さを短縮できる手術です。ルフォーⅠ型骨切り術は、上顎骨全体を動かせる為、動かす範囲が大きいという点がメリットです。
ただ、ルフォーⅠ型骨切り術を行った場合、10日前後の入院(クリニックにより異なる)が必要となります。また、上下の歯の噛み合わせの問題、鼻の目立ち具合など、新たな問題が出てくるので、下顎支矢状分割術(SSRO)や鼻翼挙上術を併用し、顎先や鼻などの手術を行わなければならないケースがほとんどです。費用が更に多く発生しますし、心身の負担が増えるのも大きなデメリットです。
治療後のダウンタイム等について
セットバック手術やルフォーⅠ型骨切り術はお口の中から手術を行い、骨は生体親和性の高いチタンプレートで接着します。ちなみに、セットバック手術の場合は半年ほど経てば粘膜は再生しますので、大きく口を開けても切開の傷跡は目立ちません。むくみや腫れの起こるダウンタイムの期間も、全てマスクで覆える範囲ですので、人目につきにくいです。
セットバック手術やルフォーⅠ型骨切り術はどちらの外科矯正も手術を伴いますので、むくみや腫れなどの表面的な変化、痛みによるダウンタイムは発生します。それらは個人差がありますが、術後検診の際に気になる箇所があれば担当医に相談をしましょう。
また、接着に使用したチタンプレートは、ご希望であれば術後一年経てば除去する事が可能です。料金が発生するかはクリニックにより異なりますが、担当医にプレート除去を相談した場合、術後の状態が良ければそのような処置を行えます。
セットバック手術とルフォーⅠ型骨切り術に関するQ&A
セットバック手術とルフォーⅠ型骨切り術が選ばれることが多いです。
セットバック手術は左右の第一小臼歯を抜歯し、前歯と歯槽骨を後ろに下げて固定する手術です。所要時間は約2~3時間で、術後の検診回数も少ないです。
セットバック手術は上下の前歯の後退のみに効果があり、動かせる範囲が狭いことがデメリットです。
ルフォーⅠ型骨切り術は上顎骨を切開し、口元の突出感や中顔面の長さを短縮する手術です。上顎骨全体を動かせるため、範囲が広いというメリットがあります。
セットバック手術は上下の前歯の後退のみに効果がありますが、ルフォーⅠ型骨切り術は上顎骨全体を動かすことができます。
まとめ
セットバック手術とルフォーⅠ型骨切り術は口元の突出感を改善するための外科矯正手術です。セットバック手術では第一小臼歯を抜歯し、前歯と歯槽骨を後ろに下げて固定します。
ルフォーⅠ型骨切り術では上顎骨を切開し、口元の突出感や中顔面の長さを短縮します。セットバック手術は変化が限定的ですが、ルフォーⅠ型骨切り術は範囲が広いです。
手術後は腫れや痛みがあり、ダウンタイムがありますが、個人差があります。チタンプレートは術後1年経てば除去可能です。