上、下、もしくは上下顎のフェイスラインをきれいに整える外科手術をセットバック手術といいます。セットバック整形を受ける際には見た目の改善のみに特化した手術ではなく、咀嚼機能や、滑舌などの口腔機能も気にしてくれる医院を選びましょう。
セットバック手術をすると滑舌はどうなる?
セットバック手術後には、ダウンタイムがあります。ダウンタイムの個人差はありますが、通常手術の直後には、腫れや痛みが生じます。それに伴い、一時的に(約1週間ほど)滑舌が悪くなる可能性があります。
ただ、切り離した骨が癒合する段階になれば、滑舌は変化します。特に、歯並びの悪さで滑舌が悪かった方は、セットバック整形により噛み合わせや口の開閉時の機能が上がること、舌が正しい位置にあることで、発音が明瞭になり、滑舌の改善が期待できます。
▼セットバック手術のダウンタイムについてはこちらで詳しく解説しています。
見た目だけではなく機能も改善してくれる医院を選ぼう
セットバック整形には高額な費用が発生するため、後悔のないように信頼できる医師を探しましょう。特に見た目を整えるだけでなく、お口の機能である「噛む」「滑舌(発音)」「表情」についても相談の出来る歯科医院を選びましょう。
- 口腔外科の知識・歯科の知識があり症例経験の多いドクターが居ること
- 患者さんの疑問や質問に丁寧に答える担当医もしくはスタッフが居ること
- メリットばかりではなく、デメリットもきちんと説明してくれるクリニックを選ぶこと
セットバック整形とは
セットバック整形やセットバック手術が一般的な名称ですが、専門的な正式名称はAnterior Segmental Osteotomy(略称ASO:前方分節骨切り術)です。歯を動かす歯科矯正では改善の難しい方が対象です。セットバック整形は、重度の出っ歯(上顎前突)・受け口(反対咬合)・口ゴボ(上下顎前突及び口唇閉鎖不全)などを外科矯正で骨格から治療する方法で、当院では日帰り手術で行っているため、入院の必要はありません。
セットバック整形の流れ
当院で行っている実際のセットバック手術の流れをご説明します。
カウンセリングでじっくりドクターやスタッフにお悩みを相談のうえ、精密検査や術前検査を受診いただきます。
何も問題がなければ、オペ当日に全身麻酔が行われ、担当医による手術を開始します。前から4番目の歯を抜歯し、それに付随する骨を切除し、水平に骨(歯槽骨)を切ります。
前歯3番までの左右6本の歯と骨をフリーの状態にし、角度を変えて後退させます。特に口ゴボの方は口元の尖りを気にされている方が多く、前歯を立てて後ろに移動します。チタンプレートやワイヤーでで留め終えると終了です。
手術後にも、術後検診1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月と来ていただき、写真を撮り、腫れや痛みがきちんと引いているか、フェイスラインやEラインが綺麗に整っているかを確認いたします。
セットバック整形後の滑舌に関するQ&A
手術直後には腫れや痛みが生じ、滑舌が一時的に悪くなる可能性があります(約1週間ほど)。しかし、切り離した骨が癒合する段階になると、特に歯並びの悪さで滑舌が悪かった方は、セットバック整形により噛み合わせや口の開閉時の機能が向上します。舌が正しい位置にあることで発音が明瞭になり、滑舌の改善が期待できます。
術後には定期的な検診が必要です。手術直後は腫れや痛みが生じることがありますが、時間と共に回復していきます。術後検診では、腫れや痛みが適切に引いているか、フェイスラインやEラインが整っているかなどを確認します。写真を撮って経過を観察し、滑舌の改善や口の機能向上を評価します。
セットバック整形は高額な費用がかかるため、安い歯科医院や美容外科を選ぼうとする方もいますが、経験が浅いドクターが手術を行うと事故や失敗のリスクが高まります。後悔のないように、カウンセリングを2~3軒訪れ、以下の点に注意して信頼できる医師を選びましょう。
・口腔外科の知識・歯科の知識があり、症例経験の豊富なドクターがいること。
・患者の疑問や質問に丁寧に答える担当医もしくはスタッフがいること。
・メリットだけでなく、デメリットもきちんと説明してくれるクリニックを選ぶこと。
まとめ
セットバック整形(輪郭整形)を考えられる方は、見た目のお顔の輪郭に加え、「食べ物を噛み砕く」「しっかり話せる」などお口の機能まで総合的に考えてくれるドクターに手術を行ってもらいましょう。顎変形症と診断されたら、大学病院で保険適用内で治療を行う方法も考えてください。外面だけではなく、かみ合わせなどの咬合機能も改善されれば、自分の口元を隠す必要がなくなり、更に笑顔が増えることでしょう。