私たちはどんな理由で歯を失ってしまうのでしょうか。虫歯や歯周病の他にも歯を失って咬合が崩壊する原因があります。
歯を失う原因の調査結果は?
2018年に全国の2,345軒の歯科医院で全国抜歯原因調査が行われました。その結果によると、歯を失う原因で最も多いのは「歯周病」(37%)で、「虫歯」(29%)、「破折(事故などではなく神経を取った歯の根の破折)」(18%)、「その他」(8%)、「埋伏歯(歯の頭の全てまたは一部が顎の骨や歯肉の中に埋まっている状態のこと)」(5%)、「矯正」(2%)の順になっています。
殆どの歯は自然に抜けるのではなく歯科医院での抜歯処置を経ての喪失となっています。歯周病が進行して歯がグラグラになって自然に脱落するという例もありますが、歯が失われる場所は殆どが歯科医院と考えて良いでしょう。歯科医院で抜歯になる直前の歯の状態を調べることによって、歯が失われる原因が明らかになります。
進行すると歯を失う虫歯や歯周病
歯を失うことを歯牙欠損症といいます。虫歯が進行してもう歯を抜くしかない状態になるのは「C4」です。歯周病の場合は「P3」と診断されると抜歯になります。歯周病は重度になると歯が抜け落ちるといわれますが、実際に自然に抜けてしまう自然脱落のケースはそう多くありません。
歯が折れる歯牙破損などの理由
虫歯や歯周病に次いで多い歯を失う原因は、歯牙破損です。歯牙破損とは歯が折れたり割れたりすることで、特に歯が歯根まで縦に割れてしまった場合は、保存が困難になり、抜歯となります。
歯が折れてしまう原因としては、歯に強い力が加わったからで、歯ぎしりや食いしばり、転倒、打撲などが考えられます。
歯が弱くなって折れたり割れたりする場合もあります。虫歯が深くなっていたり、神経を取る処置をした歯がもろくなって折れてしまったりすることもあります
失いやすい歯ってありますか?
歯を失うリスクが高いのは次の通りです。
- 治療されていない虫歯
- 歯の神経を抜いて被せ物(クラウン)が装着された歯
- 部分入れ歯を支えるためののバネがかかる歯
- 重度の歯周病にかかっている歯
被せ物に関しては、被せ物による治療そのものが抜歯につながりやすいというわけではなく、歯の神経を抜く処置の課程で歯の根に炎症が起こる原因がまだ残っている場合や、歯の神経がないために歯自体がもろくなるということが原因としてあげられます。
抜歯になりやすい歯の位置については、奥歯から失われるという傾向があります。これは実はシニアの方の出っ歯の原因の一つとも考えられており、奥歯が失われることで前歯にかかる負担が増して、歯が傾いていく場合があります。
どういう状態になったら抜歯になるの?診断基準は?
歯を失う時は自然に抜けることは少なく、殆どの場合、歯科医院での治療で抜歯が必要と診断された後に抜歯の処置となります。
虫歯(う蝕)では、う蝕度4度(C4)、残根状態と診断された場合に抜歯の対象となります。歯周病では、重度歯周病(P3)と診断されると抜歯の対象となります。
P3に関しては、抜歯せずに歯が抜けてしまうまで経過を観察するという選択肢も考えられますが、歯の動揺や噛んだ時の痛み、歯肉の炎症などの様々な不快な症状がありますので、最終的には抜歯を選ぶ場合もあります。
歯を失う原因に関するQ&A
調査によると、歯を失う主な原因は「歯周病」(37%)、次に「虫歯」(29%)、そして「破折(事故などではなく神経を取った歯の根の破折)」(18%)、その他の原因(8%)、埋伏歯(5%)、矯正(2%)です。
歯を失うリスクが高い状況や状態は、「治療されずに進行した虫歯」、「歯の神経を抜いて被せ物(クラウン)が装着された歯」、「部分入れ歯を支えるためのバネがかかる歯」、「重度の歯周病にかかっている歯」です。
抜歯になる時の診断基準は、「虫歯(う蝕)」の場合、う蝕度4度(C4)や残根状態が診断された場合、「歯周病」の場合、重度歯周病(P3)が診断された場合です。
まとめ
歯周病はかなり悪くなるまでは殆どの方が自覚症状に気付きません。そのため治療が遅れて抜歯になってしまうことが度々あります。重症化する前に治療するためには、歯科医院の定期健診でプロの目での診断を仰ぐ必要があります。歯を長く健康に保つためには、ぜひ3ヶ月に1回程度の定期健診を受けていただくことをおすすめします。