歯と口のトラブル

口の中の骨隆起は放っておいても大丈夫?

口の中の骨隆起は放っておいても大丈夫?

骨隆起は、歯ぐきの内側や外側に現れる硬い突起物で、多くの方が無痛で気づかないことが多いですが、見た目や違和感を感じることもあります。骨隆起がどのようなものか、放置しても問題がないのか、ご説明します。

骨隆起とは何か?

骨隆起とは、口の中の骨が異常に盛り上がり、硬い突起のように感じられる状態を指します。歯ぐきの内側や外側に硬いこぶのようなものを感じれば、それが骨隆起です。骨隆起は、通常は痛みを伴わないことが多く、徐々に成長する傾向があります。主に以下のような場所で発生します。

  • 上顎や下顎の歯列に沿った部分
  • 舌の近くの歯ぐき
  • 頬の内側の歯ぐき

骨隆起は、悪性の腫瘍ではなく、自然な骨の成長の一環であるため、通常は大きな問題を引き起こさない場合が多いです。

骨隆起の原因とは?

骨隆起の正確な原因は明確ではありませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

遺伝的要因

一部の患者さんでは、骨隆起が家族内で遺伝的に受け継がれることがあります。このため、両親や祖父母に骨隆起が見られる場合、その子供にも同様の症状が現れる可能性があります。

歯ぎしりや食いしばり

夜間に無意識に歯ぎしりや食いしばりを行うことが、骨隆起の形成を促進する一因となる場合があります。これにより、骨が圧力にさらされ、成長が刺激されると考えられています。

加齢や骨の成長

加齢による骨の変化や成長が骨隆起の一因となることもあります。特に歯の喪失や不正咬合によって骨の負担が増えると、骨が異常に発達することがあります。

骨隆起を放置しても大丈夫なのか?

骨隆起は痛みを伴わないことが多いため、一般的には、症状がなければ特別な治療は必要ないとされています。しかし、以下の点に注意が重要です。

痛みや不快感がある場合

骨隆起自体は痛みを伴わない場合がほとんどですが、成長が進むと歯ぐきや口の中の組織に圧力がかかり、違和感を感じることがあります。特に食事中や話す際に不便さを感じる場合は、早めに歯科医に相談することが推奨されます。

入れ歯や矯正装置との干渉がある場合

骨隆起が大きくなると、入れ歯(義歯)や矯正装置などと干渉する可能性があります。この場合、義歯が安定しなかったり、装置が正しく装着できなかったりするため、適切な対応が必要です。

放置するリスク

骨隆起自体が悪性に転じることはほとんどありませんが、成長し続けると口の中のスペースが狭くなり、歯や他の口腔組織に影響を及ぼすことがあります。また、外見的な変化が気になる場合もありますので、定期的に健診を受けることが重要です。

骨隆起の治療法や対処法

症状がない場合、骨隆起は特に治療の必要はないことが多いです。しかし、以下のような場合には、治療を考慮することが推奨されます。

手術が必要な場合

骨隆起が大きく成長し、義歯の装着や日常生活に支障をきたす場合は、外科的に骨隆起を削る手術が行われることがあります。手術自体は比較的簡単なもので、口腔外科で行われることが一般的です。

定期的な健診でのチェック

骨隆起が成長する可能性があるため、定期的な歯科健診で経過を観察することが重要です。特に症状がない場合でも、変化がないか確認することで、必要な治療を早期に受けることができます。

予防的なアプローチ

歯ぎしりや食いしばりが原因の場合、マウスピースなどの装置を使用して圧力を軽減することで、骨隆起の成長を抑えることが可能です。また、日常的な歯磨きや口腔ケアを徹底することで、口腔内の健康を維持し、問題を予防することができます。

骨隆起を予防するための生活習慣

骨隆起の予防や進行を遅らせるためには、以下のような生活習慣の見直しが効果的です。

歯ぎしりや食いしばりへの対策

ストレスや緊張が原因で歯ぎしりや食いしばりが起こることがあります。リラックスする習慣を取り入れたり、就寝時にマウスピースを使用することで、歯や骨への負担を軽減できます。

歯磨きや口腔ケアをしっかり行う

毎日の歯磨きや定期的な歯科健診を行うことで、口腔内の健康を維持し、骨隆起が発生するリスクを軽減することができます。特に歯垢が蓄積しないよう、歯磨きの方法や使用する歯ブラシの選び方に気を配りましょう。

定期健診を受ける

骨隆起が初期段階で発見されれば、必要な対策や治療を早期に行うことができます。定期的な健診を受けることで、口腔内の異常を早期に察知し、適切な対応を取ることが可能です。

このように、骨隆起は基本的には大きな問題を引き起こすことは少ないですが、成長が進んだり日常生活に影響を及ぼす場合には、早めの対応が重要です。

まとめ

骨隆起は、一般的には大きな問題を引き起こさないものの、場合によっては成長し、生活に支障をきたすことがあります。早期に発見し、必要に応じて治療を行うことで、口腔内の健康を維持しやすくなります。

歯ぎしりや食いしばりなどの予防策を講じることも、骨隆起の進行を防ぐ手段として有効です。また、定期的な健診を通じて、骨隆起の状態をチェックし、早めに対処することが大切です。口の中に違和感を感じた際には、ぜひ歯科医師に相談してみてください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック